ヤコブの梯子の恐怖

雲間から放射する太陽光線の景色を写真な
どで目にする事がある。

西洋ではこの美しい光景の事を
「天使の梯子」「ヤコブの梯子」というの
だそうだ。


シェーンベルクが作曲したオラトリオ
「ヤコブの梯子」

そのタイトルから宗教色の強い曲なのだろ
う、と思いつつ先日アルバムを購入した。

プレイヤーの再生ボタンを押す。。。
"無調"の音色が流れ始める。。。

ひとつの音階が他の音階と調和する事が
ない"無調"の世界。

最近、すっかり愛聴盤になってきたベルク
作曲の゛ボツェック゛と似た曲とも思ったが
客観的な距離感を置く事が難しく、聴いて
いる間中、常に精神を揺さぶられるような
落ち着かなさを感じさせられる曲。

40分程の短い曲だがその終盤に差し掛か
ると本格的にその怖さが迫ってくる。

何度か途中で音楽を止めようとすら思った。

音楽を聴いてここまで怖い思いをするのは
初めてかも知れない。改めて歌詞の日本語
訳を見る。。

第一次世界大戦により死に直面し後にナチス
により迫害を受けたと言われる芸術家の狂気
の世界がそこにあった。

<耐えられない、この圧迫……! 
 重くのしかかる、この圧迫! 
 何という、ひどい痛み! 
 身を焦がす憶れ……! 
 熱い感激……! 偽りの成就……! 
 暗滲たる寂しさ……! 
 形式への強制! 意志の否定……! 
 幸福を得るための嘘! 
 殺人、盗み、血、傷……! 
 所有、美しさ、享業……! 
 虚栄の喜び、自己の感情……!>

Die Jakobsleiter / Arnold Schoenberg



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