衛生無害な未来

『南京虫』.......


聞いただけで痒くなる思いがする。
ショスタコーヴィチが第一作目のオペラ
『鼻』を発表した翌年に作った戯曲。
物語はこうである。

貧しい労働者で共産党員の主人公が出自を
偽って金持ちのマニキュア美容師と結婚。
ところが結婚式の最中に火事が発生して酔
っ払った主人公は消防士からの放水で氷付
けに。50年後に目覚めた主人公は衛生無害
な未来世界では南京虫に等しい存在と見な
され動物園で展示されるはめになる。檻に
入れられた主人公が観客席に自分の同類を
発見し。。。


軽音楽を『鼻』と同様の手法によってグロ
テスクに変形させた曲であり、当時依頼主
のメイエルホリドから

『脳味噌が空っぽになる』

と評されたという。

今現在オペラ『鼻』に毎週末夢中になって
いる。未だに全体的に掴み所がない曲なの
だが、一ヵ所だけ一度聴いたら忘れる事が
できず、頭の中をぐるぐるし出す悪魔的な
旋律の箇所がある。


ようやくその🌀病から解放されつつある。
そんな自分にとっていつかは聴いてみたい
戯曲。。でも聴く機会は恐らく絶望的に
訪れない。。

最近のTVを見ているとコマーシャルの謳い
文句で『室内の菌を徹底的に除菌』とか
『除菌効果ナンバーワン』とか、ばかり。

不衛生な環境も如何なものかと思うが、
徹底的に無菌の環境ばかりで育ってきた人
間もどうなるのだろう。。

世の中がどんどん便利になり人間がやる事
が少なくなってきている。人間が運転する
必要がない自家用車なんて。。


人間として生きていくために最低限必要な
能力まで奪われない様な未来になって欲し
いものだと思う。。。

など長期休暇が始まった途端、余計な事ば
かり考える。

私の悪い癖。。


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