腕時計が突然に

今から30年前の20歳代後半の事。

貧乏なくせに高価な腕時計にステータス
シンボルを感じていた時期があり、
セイコーのそれなりに高価な腕時計を買い
今まで使い続けてきていた。

セイコーの✳(アスタリスク)。
そんなモデルはとっくの昔に作っていない。


でも当時の御値段は確か10万円前後だった
と記憶している。電池交換の時以外、秒単
位で微塵のズレも起こさない正確な時間を
これまで刻み続けてきた。

婚約指輪を作っていた職人さんからも
綺麗な時計ですね、と誉められもした。
流石は日本が誇るメーカーの時計!...

その時計が先日朝起きると突然、10分程
遅れていた。。

あれ?電池?。。また?。。

おおたかのショッピングセンターにある
時計店を見付けて見てもらう事にした。
最近は町の時計屋さんを探すのも一苦労。

『電池は、ね、ほら、元気ですよ。
 でもね、リューズを目一杯引っ張って
 長針を動かしてみて下さい。。』

全く針が動かないわけではないが、時々
くねっ、、と空振りをする。。
裏蓋を開けた状態で中を見せてもらった。
あるべき所のネジが明らかに無くなって
いたりする。

とりあえずメーカー側でまだ修理を受け付
けてくれる型番だったので修理の可否も含
めて修理代を見積もってもらう事にした。

ほぼ2週間経過して見積り結果を知らせる
電話がかかってきた。

『税込みで2万6千円です!』

想像はしていたが少しヒヤッ、、ときた。
でもその時にはこれまで長く使ってきた
時計であるという思いが先に立ち、

『修理お願いします!』

と思わず答えていた。

でも頭を冷やして良く考えて。。
余程高価な時計でない限り、30年前とは
腕時計の値段の相場は明らかに違ってきて
いるし、価値観も変わってきている。
修理代と同じ金額を出せば結構良い感じの
同じメーカーの新品時計が手に入る。
高価な修理費用を出してもこれまでの使用
年数の長さを考えると、

『修理した後の保証はし兼ねます。。』

と言っていた事も思い出した。

慌てて2日後に修理キャンセルの連絡をして
メーカー側でギリギリ間に合った。
見積りの為に時計を分解していたので手元
に戻ってくるのにまた2週間かかるらしい。



時計の役割を突然放棄してしまった腕時計。

ものが壊れる時には予想もしない時にこう
やって突然に壊れてしまうもの、
なのかも知れない。。

未修理のまま返ってくる腕時計だが、破棄
するのはさすがに心が痛む。
その後の使い道をネット検索してみた。
キーホルダーなどのアクセサリーとしても
使えるらしい。

こうなってくれると案外良いかもね。。


腕時計バンドを外したら顔付きが変わるの
かも知れないが自作も含めて、
これまでの感謝を込めて!
今後の使い道を考えてみたい。


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